【GARDEN】

美術家・岩井成昭さんと出会った。「イシワタ邸で何かやってほしい、たとえばトークイベントとか」という依頼に対して岩井さんは、「それだけじゃつまらないから、僕も何か作品が作りたいな」と言った。貫禄があるのに飾り気がなくて気さくな紳士、岩井さん。岩井さんの「打ち合わせ」はすごく長くて、それものんびりしていて、独特の「間」みたいなものがある。「打ち合わせ」という感じではない。「じゃ、僕は次の会議があるんで」と要件を話し終えるやいなや立ち去る、みたいな雰囲気はなく、なんだかいつまでも座ってのんびりと、ニコニコしていたりする。「お忙しいところお時間を割いていただいて恐縮だなあ」という気持ちをつい忘れかけてしまう。お忙しいことは確かなのに、つまり私は恐縮せずについ心を開いてしまう。岩井さんのその感じはイシワタ邸においてはよりいっそう顕著であった。のんびりとくつろいでおり、和室の襖絵を見に行ったきり出てこないと思ったら案の定ソファで寝ていた。

しかしそんなふうに何度も何度も足を運んで時間を費やしてくださった岩井さんのアウトプットは、なんとも鋭かった。なるほど、それが美術家という仕事なのだなあと思う。または魔法使いの。岩井さんの登場によって私の中の何かが大きく変わったと言える。イシワタ邸を初めて訪れた彼がまず「庭」と言ったとき、私にとって「庭」とは見えてるのに見えてない完全なる死角であり、ただのわずらわしいもの(ほっとくと茂っちゃって困る)であった。「庭」こそは家族ひとりひとりの思いが表れる場所であり、「庭がただただわずらわしい」と思っていることこそが私の幼さと甘えの象徴だったのである。

かくして、「GARDEN」の撮影がなされた。タイエ・イダハル到着前と、滞在中の2回(2012年1月現在)。これは、岩井さんがもともと掲げた「タイエがホームシックにならないための庭をつくる」というテーマや、そのためにタイエに頼んで送ってもらったホームシティ・ラゴスの風景写真からすれば「企画倒れ」し「予定変更」した結果ともいえる。だけど「当初の計画を遂行する」ことは大して重要ではないのだと思った。大切なのは「最初の直感」と、それを担保する熟練された技術。岩井さんはベテランの魔法使いだな。【※「GARDEN」シリーズは、続くpart3をもって完結しました。】

GARDEN part1

GARDEN part2

GARDEN part3

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